泌尿器科は腎臓・尿管・膀胱といった尿の排泄に関わる臓器と、前立腺・精巣などの男性生殖器における病気全般を扱う診療科です。
具体的には、男女を問わず排尿に関する不具合や、痛みや検診などで見つかる尿路結石、当科で扱う各臓器における腫瘍(良性・悪性腫瘍)など幅広い疾患が対象となります。
特長
当科は泌尿器系専門病院であった旧大和病院・東京腎泌尿器センター大和病院から引き継いでおり、数多くの治療実績がございます。
泌尿器科は常勤医師8名の体制で診療にあたっており、在籍医師は泌尿器科に関する専門医・指導医といった専門資格をもった医師のみで構成され、女性医師も在籍しておりますので、安心してご受診ください。
紹介状がなくても診察可能ですが、診療内容によっては紹介状が必要と判断となる場合があります。可能であれば前医療機関での診療内容やデータを含む紹介状があったほうが、スムースな診察を行えますのでご検討のほどよろしくお願い致します。
診療方針
手術に関しては、そのほとんどを内視鏡治療や腹腔鏡手術などの負担の少ない治療(低侵襲治療)で行っています。また可能な限り正常部分を残す臓器温存治療も積極的に行っています。これらは術後の痛みを少なく抑え、早期の退院が可能となり、手術前と変わらない社会生活へスムースに戻っていただけるメリットがあります。さらに手術後の栄養指導やリハビリテーションも積極的に介入させて頂いていますので、退院後も安心して生活していただけます。
当科では入院・手術までの待機時間を可能な限り短くして、患者様の負担や不安を減らせるよう努力して取り組んでおります。緊急性が高い場合などには、ご希望に応じて受診当日の入院や手術にも対応致します。セカンドオピニオンについてもいつでも受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。
対象となる疾患
当院では多岐にわたる疾患に対応しており、全国から治療目的に多くの患者さまを紹介いただき、年間の手術件数は2021年度では約2,000件となっています。特に尿路結石や前立腺肥大症・前立腺癌に関する手術件数は全国的にも有数の治療実績を有しております。
尿路結石症(腎結石・尿管結石・膀胱結石・尿道結石)
腎臓で出来た結石が原因の病気です。場所によりさまざまな症状を呈しますが、症状がなくても検診などで指摘されることもあります。
症状 |
強い痛み(おなかや腰、背中)、血尿、感染症、腎機能低下の原因となることがあります。 |
治療 |
大きさによりますが自力で排泄可能な場合は内服での治療となります、また痛みに関しても鎮痛剤で対応します。自然排泄が困難な場合には手術の適応となります。結石の成分には違いがあり、その原因が異なるために成分に応じた予防方法を検討します。 |
尿路炎症疾患(腎盂腎炎・膀胱炎・前立腺炎・精巣上体炎・尿道炎)
尿を介して細菌感染を起こすことにより各臓器に炎症を起こした状態です。まれに感染がなくとも症状を呈する場合もあります。
症状 |
排尿痛、頻尿、残尿感、排尿困難感、尿の濁り、発熱、局所の痛みや腫れ、などがあります。 |
治療 |
基本的には外来通院での治療となります。ただし強い炎症を起こしてしまっているときや、結石などの原因がありそれを除去する必要がある場合や、膿がたまっているような状態のときには入院治療や手術が必要になる場合があります。 |
悪性腫瘍(膀胱癌・腎盂癌・尿管癌・腎癌・前立腺癌・精巣癌)
副腎腫瘍
副腎とは腎臓の上にある小さな臓器で、体内のさまざまなホルモンを作っており、非常に大切な臓器です。腫瘍によってその働きが過剰になると多くの症状が出現します。高血圧や糖尿病の原因となり、内科の精密検査で発見されることが多いです。
症状 |
高血圧、高血糖、高脂血症、骨がもろくなる、ニキビが増える、顔が丸くなる、お腹に脂肪がつく、頭痛、多量の発汗、頻脈など |
治療 |
症状がなく腫瘍が小さな場合は経過観察となります。症状がある場合には手術治療の適応となります。手術によって症状を改善することが期待できます。 |
前立腺肥大症
前立腺肥大して、様々な排尿の症状を引き起こす病気です。原因としてはまだはっきりとは解明されていませんが、男性ホルモンが関与していると言われています。
症状 |
頻尿、排尿困難感、尿の勢いがなくなる、残尿感などの排尿症状 |
治療 |
飲み薬での効果が乏しい場合には、手術治療を行っています。当院の特徴として、2種類のレーザーでの内視鏡手術を選択可能であり、いずれも低侵襲手術のため約5日間程度の入院治療で行っております。手術前日入院、術後の尿道カテーテル留置期間は3日以内で、治療成績も良好です。またウロリフトという2022年から保険適用となった最新治療も行っています。 |
過活動膀胱
尿が十分にたまっていないのに、自分の意志とは関係なく勝手に膀胱が収縮する病気のことです。
症状 |
頻尿、夜間頻尿、尿意切迫感(急に強い尿意があり、トイレまで我慢できない)、尿漏れ |
治療 |
通常は内服治療を行います。症状が強い場合には内服では不十分なことがあり、その場合には膀胱内にボトックスを注入することにより症状改善が期待できます。 |
腎盂尿管移行部狭窄症
生まれつき、もしくは後天的に腎臓から尿管への移行部位が狭くなって、尿の流れが悪くなっている状態です。
症状 |
腰痛や感染症の原因となることがあります。 |
治療 |
一時的には狭くなっている部位にカテーテルを入れることで改善を期待できますが、一生涯3~6か月おきの交換が必要となります。当院では手術支援ロボットを使用した腹腔鏡手術での治療を積極的に取り組んでおります。症状から解放され、尿管ステントを半永久的に交換する必要がなくなる可能性があります。入院期間は1週間程度です。 |
LOH症候群(加齢性腺機能低下症)
男性更年期障害ともいわれます。加齢に伴い男性ホルモン(テストステロン)の働きが弱くなることが原因です。
症状 |
健康観の減少、不安、いらいら、うつ、不眠、集中力・記憶力の低下、性欲減少、筋力低下、疲労感、ほてり・発汗など |
治療 |
男性ホルモンの補充療法によって症状の改善が期待できます |
精巣捻転
精巣へ向かう血管の束がねじれる病気です。血流が途絶えることで強い痛みなど症状が生じます。放置すると精巣が壊死してしまい、精巣の摘除が必要となる場合があります。
症状 |
下腹部痛、陰嚢の激痛、精巣の腫れ、吐き気、発熱 |
治療 |
手術による捻転の解除、再発予防のための固定術 |