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卵巣は子宮の左右に一つずつあり、通常は約3cm程度の大きさです。卵巣に発生した腫瘍を卵巣腫瘍といい、その中でも内容物の入った袋状の形をした腫瘍を卵巣嚢腫といいます。比較的若い女性に多く、そのほとんどが良性です。
卵巣の細胞は色々なものに分化する能力があり細胞分裂がさかんなため、様々な種類の腫瘍ができやすい臓器です。卵巣にできる腫瘍を卵巣腫瘍といい、その中でも袋状の腫瘍で中に液状の内容物の入った腫瘍を卵巣嚢腫といいます。卵巣嚢腫には脂や髪・皮膚・歯などが含まれる成熟嚢胞奇形腫やサラサラした液体が溜まる漿液性嚢胞腺腫、粘稠な液体が溜まる粘液性嚢胞腺腫などがあります。比較的若い女性に多くみられそのほとんどは良性ですが、発生する原因については解明されていないことも多く、予防法も現時点ではありません。
大きさが小さい場合は、症状が出にくいため健診などで偶然発見される事も少なくありません。嚢腫が大きくなるとお腹に膨らみや張り感を感じることや、腫大した卵巣がねじれたり(茎捻転)、嚢腫が破裂することで急な激しい腹痛をきたすこともあります。
卵巣は月経周期に伴って一時的に嚢胞様に大きくなることがあるため(機能性嚢胞)、一度目の診察だけでは卵巣嚢腫と診断せず、2~3ヶ月後に再検査を勧める場合もあります。
子宮や卵巣の動きや骨盤内の痛みの程度を腟から指を入れて調べます。
子宮や卵巣の大きさや形、周囲の臓器との位置関係を確認する検査です。超音波を出す細長い器具を腟に挿入して行います。性交経験が無い方にはお腹や肛門から検査を行うことも可能です。
卵巣嚢腫が大きい場合や手術を検討する場合に行います。病気の状態や、周囲の臓器との癒着の程度などをより詳しく評価することが可能です。また、造影剤を用いて卵巣がんの可能性について評価を行うこともあります。
血液中のCA125やCA19-9、SCC、CEAなどそれぞれの卵巣嚢腫に特有の腫瘍マーカーが上昇することがあり、定期的に検査を行います。また卵巣がんの可能性についての評価として用いる場合もあります。
卵巣嚢腫が小さい場合は、数か月ごとに経過を観察していきます。卵巣嚢腫を小さくする薬はなく、大きさが約6cm以上の卵巣嚢腫では、茎捻転や破裂の危険が高くなるため、原則として手術を勧めます。また卵巣嚢腫の良性・悪性を確定するには、手術で摘出した病変の病理組織学的検査でしか診断がつかないため、嚢腫が急速に増大するなどの場合にも手術を勧めることがあります。
卵巣の中にできた病気の部分だけを摘出し、正常の卵巣を残す方法です。正常な卵巣を温存できるメリットはありますが、目に見えない微小な病変が遺残する場合があるため、付属器切除術に比べて再発の可能性があり術後も定期的な検診が必要です。将来的に妊娠を希望される方にはこの術式を選択することが多いですが、大きさや嚢腫の状態によっては正常卵巣を温存できない場合もありますので主治医とご相談ください。
病気がある側の卵巣をその近くにある卵管も含めてすべて摘出する方法です。術前診断で悪性腫瘍が否定できないときは本法を選択します。閉経から時間がかなり経過している場合は、卵巣から分泌される女性ホルモンがほぼ無くなるため、両側の付属器摘出を勧めます。
当院ではどちらの術式も腹腔鏡下手術(創は主にへそ:1.2cm、下腹部:0.5cm 2~3か所)で行いますが、卵巣嚢腫が大きい場合や開腹手術の既往などでお腹の中に強いひっつき(癒着)が予測される場合には、下腹部に2.5~4cm程度の小切開を行う腹腔鏡補助下手術や開腹手術を行う場合もあります。(詳細は腹腔鏡手術の項をご参照ください)