IMSグループ 医療法人財団 明倫会 明倫会東京大和病院

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子宮腺筋症

子宮内膜とよばれる組織やそれに似た組織が、子宮の筋層内に入り込んで子宮が腫大してくる病気で、月経痛や月経量の増加(過多月経)などの症状を認めます。

原因と症状

子宮腺筋症は、本来、子宮の内側にできる子宮内膜という組織やそれに似た組織が子宮筋層内に入り込んでしまう病気であり、エストロゲンという女性ホルモンの影響を受けて正常の子宮内膜と同じように子宮筋層内で増殖を繰り返すため、閉経するまで子宮腺筋症は進行していきます。子宮腺筋症が進行すると子宮の筋層が厚くなり、子宮が大きくなります。40代に多くみられ、出産や帝王切開・流産や中絶手術、子宮筋腫の手術など子宮内膜の操作を伴う子宮手術を経験した人に多くみられるという報告もあります。

主な症状

強い月経痛や月経量の増加(過多月経)に伴う貧血、不正出血、持続する骨盤内の痛みなどがみられます。また不妊症や流産・早産の原因となることもあります。

検査と診断

内診・直腸診

子宮や卵巣の動きや骨盤内の痛みの程度を腟から指を入れて調べます。
また直腸やその周囲と子宮との癒着の程度を調べるために肛門から指を入れて調べる場合もあります。

超音波検査

子宮や卵巣の大きさや形、周囲の臓器との位置関係を確認する検査です。超音波を出す細長い器具を腟に挿入して行います。性交経験が無い方にはお腹や肛門から検査を行うことも可能です。

MRI検査

子宮内の病気の広がりや位置、周囲の臓器との癒着の程度などをより詳しく評価するために用います。また子宮筋腫との鑑別にも有効です。

血液検査

血液中のCA125やCA19-9とよばれる腫瘍マーカーが上昇することがあります。また貧血のチェックなども行います。

治療内容

子宮腺筋症の治療には大きく分けて「薬物療法」と「手術療法」があります。
治療法の選択に関しましては、痛みや過多月経などの症状の改善とともに不妊症がある場合にはその後の治療に対しても考えていく必要があります。
そのため、年齢や症状、妊娠希望の有無など患者様一人ひとりにあった治療法を選択する必要があります。

薬物療法

1. 対症療法

症状の応じて鎮痛剤、鎮痙剤、漢方薬などを投与します。比較的効果は弱いですが、排卵を抑えないため薬を服用しながら妊活を行うことができるというメリットがあります。

2. 低用量ピル

エストロゲンとプロゲスチンの2種類のホルモンを含む薬剤です。卵巣から分泌されるエストロゲンを抑えます。これまでは月に1回休薬期間を設けて月経のように出血を起こす方法(周期性投与)が主流となっていましたが、近年は休薬期間を設けず、連続投与を行うことで出血する回数を減らし、月経痛などの症状をより少なくする方法も取られています。

3. ジェノゲスト(プロゲスチン製剤)

子宮内膜を萎縮させる作用があるプロゲスチンのみを成分としたお薬です。長期にわたって安全に使用することができるため、現在の薬物治療の主流となっています。

4. ミレーナ®(子宮内黄体ホルモン放出システム)

子宮内に留置する器具で、器具の内部からプロゲスチン製剤(レボノルゲストレル)を放出します。内服の必要がなく、一度留置すると5年は効果が持続します。外来にて挿入可能ですが、月経開始日から5日~10日目に行うのが一般的です。

5. 偽閉経療法

GnRHアゴニスト療法(4週間毎に注射)やGnRHアンタゴニスト療法(毎日1回内服)を行い、子宮内膜組織の増殖をもたらすエストロゲンを抑えて閉経の状態を作り出す方法です。症状を抑える効果は大きいですが、のぼせなどの更年期に似た症状が出ることや骨粗鬆症の危険があるため半年以上は使用できません。

手術療法

薬物療法が無効な場合などに選択されます。子宮腺筋症の患者様の中には子宮内膜症(子宮内膜症性卵巣嚢胞や深部内膜症など)を合併していることも多く、同時にこれらの手術を行うことがあります。詳しくは子宮内膜症の治療をご参照ください。

子宮腺筋症摘出術

将来子どもが欲しい方には子宮腺筋症の病気の部分だけを取り除き、子宮を温存する術式をとることがあります。症状の緩和に効果がありますが、子宮筋腫と違って腺筋症は病気の境界がはっきりしないため摘出する範囲が分かりにくいことや、妊娠中の合併症も多いという難点があります。現時点では保険適応がなく、当院では行っておりませんのでご希望の方はご紹介をさせていただきます。

子宮全摘出術

妊娠希望が無く、根治を希望される場合には、子宮を摘出する手術を選択します。術前診断で悪性腫瘍が否定できないときは本法を選択します。子宮を全摘出することによって将来子宮がんを生じるリスクがなくなるメリットもあります。

これら「子宮腺筋症摘出術」と「子宮全摘出術」は従来の開腹手術の他に腹部に小さな穴(0.5~1.5cm程度)を3~4か所開けてお腹を炭酸ガスで膨らまし、お腹の中の様子をテレビモニターで確認しながら鉗子と呼ばれる細長い器具を用いて手術を行う腹腔鏡手術がありますが、腹腔鏡手術の方が傷跡が目立たず、術後の回復が早いなどさまざまなメリットがあります。しかしながら、特有の技術が必要なため開腹手術と比較して難易度が高くなると言えます。当院は日本産科婦人科内視鏡学会の認定研修施設で、5名の腹腔鏡技術認定医が在籍しておりこれまでも数多くの症例を腹腔鏡手術で行ってきております。ただし腺筋症の大きさや癒着の程度によって腹腔鏡手術が難しい場合もありますので主治医と十分に相談して術式を選択していきます。

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