学会・研修
この度、9月18日から鹿児島で開催された第65回日本産科婦人科内視鏡学会において、栄誉ある『杉本賞』を受賞しました。
日本産科婦人科内視鏡学会は1972年に創立され、我が国の産婦人科領域の腹腔鏡手術、子宮鏡手術の発展に大きな役割を果たしてきました。杉本修先生は初代理事長を務められ、学会の発展に大きな貢献をされました。杉本賞は杉本先生を顕彰するとともに、産科婦人科領域において内視鏡手術の技術の発展と教育活動に顕著な業績を上げたものが選考され、毎年一名に授与される学会の最高栄誉とされるものです。
杉本賞受賞者は学術集会2日目に記念講演を行いますが、今回、講演タイトルを、「腹腔鏡手術の可能性に魅せられて ―これまで、そしてこれから―」としました。
私が本学会に参加したのは古く1990年のことです。
当時、婦人科はすべての外科系診療科で最も長い腹腔鏡の歴史を有していましたが、消化器外科に腹腔鏡手術手技と保険化において大きく遅れを取っていました。そんな最中、1994年に腹腔鏡下胆嚢摘出術を目の当たりにし、婦人科腹腔鏡手術の開発を自分のライフワークにすることを決意しました。
以降、今日に至るまでに腹腔鏡下仙骨腟固定術など2つの新規術式を先進医療に認可され、後の保険化に繋げることができました。また、腹壁吊り上げ法の安全性を活かした妊娠中の腹腔鏡手術、腹腔鏡の深部到達能と拡大能を最大限活用した深部子宮内膜症病巣除去術などが国内外で高く評価されてきました。
一方、学会幹事、理事として、技術認定制度の立ち上げ、ガイドラインの編纂、手術や合併症のアンケートの施行、倫理的問題の審議、eラーニングコンテンツの作成、教科書の編纂など、様々な学会の委員会活動に尽力してきました。そのような活動が今回の受賞に際して高く評価されたものと考えます。
この30年に及ぶ成果の大半は、日本医科大学産婦人科学教室在任中に成し遂げられてきたものです。
ここまで来ることができたのも、ひとえに真柄教授、荒木教授を始めとした教室の先輩方と、学会で御世話になってきた先生方のご指導の賜と感謝しております。と同時に、ロボット支援下手術や経腟腹腔鏡など、さらに進化・深化していく内視鏡手術の発展に微力ながら貢献するため、これまで歩んできた道を明理会東京大和病院婦人科スタッフとともにさらに先に歩んでいきたいと思います。
そして、これまでそしてこれからの歩みが我が国の女性の健康増進に少しでも寄与できるのであれば、まさに望外の喜びです。
2025.10.1 明樂 重夫