産婦人科医 明樂重夫 公式サイト 明理会 東京大和病院

2024年9月15日(日)出版「産婦人科内視鏡手術ガイドライン 2024年版 第4版」

学会・研修

この「産婦人科内視鏡手術ガイドライン」は今回で4回目の発行となりますが、都度私も作成に携わってきました。

 

今回は委員長として作成にあたることになり、格別の想いであります。

内情になり恐縮ではございますが、ガイドライン作成に至るまでの背景をお話したいと思います。

 

我が国では2000年ごろから様々な領域で内視鏡手術による死亡事故が相次ぎ、社会問題化していました。

そこで、日本内視鏡外科学会日本産科婦人科内視鏡学会が手を取り、現状改善に向けた取り組みを始めました。

 

まず2002年に産婦人科が他領域に先駆け技術認定制度を発足し、私も技術認定医の基準作成に携わり、自身も2003年に002番で認定を取得しています。

次いで2008年に産婦人科内視鏡手術ガイドラインの初版を発行、委員として参画しました。

その後2013年、2019年、2024年と5年おきに見直しを行い、発行を続けています。

2013年版では良性疾患小委員長として参画し、内容としてはエビデンスを中心としたガイドラインでした。

2019年版も小委員長として参画、大きな変化として“GRADEシステム”の採用があります。当時私は他の学会のガイドライン制定にも携わっており、このGRADEシステムを取り入れていたため、産婦人科内視鏡手術ガイドラインでも産婦人科領域で初めて取り入れることとなりました。

GRADEシステム…アウトカム(成果)を主体としてエビデンスの質を評価し、加えて益と不利益、患者の価値観などといったバックグラウンドを鑑みて推奨度を決める、ガイドライン作成に有用なシステム*

今回の2024度版は私が委員長として総括を行い、2022年から準備を始め、およそ2年半かけて出来上がったものです。作成委員、評価委員を合わせ70名を越える、まさにオールジャパンの陣容で作成に取り組んできました。前版同様GRADEシステムを採用し推奨度を提示しています。

今までと異なる点が、学会がその技術を認定し、担保した「技術認定医(もしくは同等の技量を持った医師)が内視鏡手術を行うことを前提としたガイドライン」であることです。

2019年版からこの5年間で技術認定医が増加し、我が国の婦人科内視鏡外科医の技術が全体的に向上しています。

国民がより高いレベルの医療を受けられるようにと想いを込めて、このような前提で作成を行い、発行に至りました。

 

最後になりますが、委員の皆さまには多忙の中、多大なる尽力を賜り、感謝の念でいっぱいです。この場を借りてお礼申し上げます。

そして、現在日本産科婦人科内視鏡学会の常務理事として学術・ガイドラインの担当に従事していますが、今後も我が国における更なる医療の発展に寄与貢献していく所存です。委員一覧_産婦内視鏡手術GL2024のサムネイル

 

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