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治療の対象となる鼠径(そけい)ヘルニアとその治療方法についてご説明します。
ある臓器が体の弱い部分やすき間から他の部位へ出てくる状態をヘルニアといいます。
これは体のいろいろな場所で起こりますが、足の付け根付近で起こるものに「鼠経ヘルニア」「大腿ヘルニア」があります。 鼠経ヘルニアは小腸から出てくることが多いため、俗に「脱腸」とよばれています。
立ち上がったり、お腹に力を入れたり、咳き込んだりしたときに、足の付け根(そけい部)が膨らみます。膨らみは、体を横にしたり、手で押さえると消失します。柔らかい膨らみ、硬いしこり、ピンポン玉の大きさから、握り拳大のおおきさまでさまざまです。男性の場合、陰嚢まで達する場合もあります。
また子供と大人では原因が違います。大人の場合、年をとって身体の組織が弱くなるために起こることが多く、中年以降の男性に多く見られます。この成人ヘルニアは手術治療する事が必要です。
生まれつきの鼠経ヘルニアとは異なり、大人の鼠経ヘルニアは足の付け根(鼠経部)の組織が弱くなることが原因になります。このような方はご注意下さい。
鼠経部の膨らみやしこりが戻らない場合を嵌頓(かんとん)状態といいます。
長時間の嵌頓状態は、腸閉塞を引き起こしたり、腸に血流がなくなり組織が腐ってしまう(壊死)ことがあります。この場合は緊急手術が必要になります。場合によっては腸切除が必要となり、手術時間・入院期間も長くなります。
飲み薬や注射では治りません。また、ヘルニアバンドは対症療法でしかありません。 外科的(手術)治療が第一選択です。
足の付け根(そけい部)に5~8cmほど切開します。昔から行われている方法は、ヘルニアの袋(ヘルニア嚢)を切除し、弱くなっている部分を修復します。以前は従来法で手術を行っていましたが、現在はテンションフリー法(メッシュ)が主流となっています。
従来法 | 弱くなっている部分を縫い合わせて治す手術方法です。痛み、つっぱり感、再発が多いことが特徴です。 |
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テンションフリー法 | 現在、最も多く用いられている手術方法です。ヘルニアが再び出てこないように、弱くなった所に人工補強シート(メッシュ)をはめ込みます。人工補強シートは、柔らかいメッシュ状の素材で体に害がない人工の素材で作られています。手術後の痛み、つっぱり感、再発が少ないことが特徴です。このテンションフリー法を従来の鼠径部切開(前方アプローチ)で行う方法と腹腔鏡で行う方法があります。 |
当院では腹腔鏡で行うテンションフリー法を第一選択としてほとんどの患者さんに施行しております。腹腔鏡で治す方法の中にはTAPPとTEPという方法がありますが、当院ではTAPPを施行しております。
また、前立腺癌に対するロボット支援手術を施行した後、そけいヘルニアが多く発症すると報告されています。しかしながら、ロボット支援手術後は癒着が高度でこの腹腔鏡下手術が困難とされておりますが、当院ではそのような患者さんにおいても腹腔鏡下手術(TAPP)を第一選択として施行しております。
基本的な手術スケジュールは手術前日入院、術後2日目退院なので、4日間の入院となります。個別にご要望に対応できますので気軽にご相談ください。
手術をした部位に痛みや異常を感じたりした場合はすぐに医師に相談してください。 個人差はありますが、手術をした部位は3-6か月くらいつっぱり感や違和感があります。
多くの場合は時間の経過とともに気にならなくなります。
退院後はすぐに仕事復帰ができます。 しかし、1-2か月間は、激しい運動や、腹圧がかかることはなるべく控えてください。