学会・研修
私はこの度、日本女性骨盤底医学会専門医を取得致しました。
本学会は骨盤臓器脱や尿失禁など、中高年女性に多くみられる骨盤底のトラブルの診断、治療に特化した学会で、この領域の専門家を認定する専門医制度が昨年発足しました。全国でも130名しかまだ認定されておらず、そのほとんどが婦人科と泌尿器科で占められています。板橋区内の医療機関で認定されている婦人科医は、現時点ではまだ私だけです。この機会を利用して、当院の骨盤臓器脱診療についてオーバービューしてみたいと思います。
骨盤臓器脱の治療は大別して保存療法として骨盤底筋体操とペッサリー療法、それで効果が不充分なケースは手術療法が選択されます。骨盤底筋体操については当院では全国でも珍しいリハビリテーション科スタッフによる系統的なプログラムが組まれ、高い効果を認めています。
またペッサリー療法では、私が開発したA型リングペッサリーを主に使用しています。これは非常にやわらかい素材なために着脱時の痛みがなく、自己着脱法にも最適なため好評を博しています。
さらに手術療法では、治療効果や低侵襲性に優れ、合併症や再発の少ない様々な新式手術を行っています。中でもメッシュを用いた腹腔鏡下/ロボット支援下仙骨腟固定術と、腟からのアプローチでお腹に傷がつかない非メッシュ手術が特に優れた特長があり、症例により個別化して積極的に行っています。特に腹腔鏡下/ロボット支援下仙骨腟固定術は私が我が国で最初に手掛け、その後多くの施設が追従し保険化されて我が国の主流となってきた術式で、我々も多くの症例を有しています。