産婦人科医 明樂重夫 公式サイト 明理会 東京大和病院

子宮内膜症の治療

腹腔鏡下手術

子宮内膜症の治療法の一つに、手術療法があります。子宮内膜症の方で薬での治療が困難である場合、また将来妊娠を希望する場合には手術療法が有用で、最も根本的な治療法として検討されます。

最近ではお腹を切開しない腹腔鏡手術が可能になりました。腹腔鏡手術では、お腹の中の内膜症病変の除去や、癒着を剥がす、病巣をレーザーで焼灼(焼く)などの治療を行うことができます。腹腔鏡で患部を確認しながら処置できるため、体への負担が小さく、傷も最小限で済むというメリットがあります。

開腹手術と腹腔鏡手術の比較

また、骨盤の深いところにある病巣に対して拡大しながら手術を進めていけるため、開腹手術と比較してのメリットがあるのも特徴です。開腹手術では、術後の腹腔内での癒着、それによる術後の痛みが出ることが多く、不妊症になる方も多く見られますが、腹腔鏡手術では、侵襲が少ないため回復も早く、入院期間も短いため仕事や日常生活への早期復帰が可能になります。

子宮、卵巣を温存する保存的な手術

治療後の妊娠を望む場合は子宮、卵巣を温存する保存的な手術が行われます。将来妊娠ができるよう切除するのは病巣のみで、同時に癒着も剥離していきます。このような保存手術も腹腔鏡手術で行うことが主流となっており、子宮や卵巣など正常な部分をできる限り残すことで、生殖機能の維持を目指します。

卵巣チョコレートのう胞と採卵の選択肢

卵巣にできるチョコレートのう胞については、切除手術後に卵子数が減少する可能性があるため、体外受精を検討する際には先に採卵を行うという選択肢もあります。ただし、保存手術を受けた場合、術後2年以内に2、3割の確率で再発するといわれており、ホルモン製剤の服用を術後直ちに始めることで再発の予防ができると報告されています。

治療選択における患者と医師のコミュニケーション

私たち婦人科医は、患者さんの一番のメリットになるよう、患者さんの病状に合わせて適用を守る安全な治療を行っています。子宮内膜症の治療法を選択する際は、妊娠や出産などそれぞれのライフスタイルを十分に考慮した上で、担当医師と話し合うことが大切です。