子宮内膜症は思春期から始まり閉経までの長い期間、不妊、周産期、がんなど女性のライフステージの全てに関わる一大疾患であり、女性医療における象徴的疾患となっています。現在、日本では子宮内膜症の患者さんは10人に1人、月経困難症については4人に1人と言われ、その数はどちらも増加の傾向にあります。これには女性のライフスタイルの変化が影響しているとも考えられますが、子宮内膜症など女性の病気に関する知識が普及したことも関係しているかもしれません。
前述のとおり子宮内膜症は女性の長い人生に大きな影響を与える可能性のある疾患です。しかし残念なことに、今の日本の医療では、産婦人科医として女性の人生の10年ほどのことしか診ない、そんな医療が当たり前のように行われているのが現状です。
私は産婦人科医として、すべての女性に長い人生を豊かに生きてもらいたいと願っています。そのためには女性の体や疾患のことを「長期に亘って診ていく」という考え方が大切です。そして、その考え方に則って治療を展開しながら、女性の活躍をサポートしていくことが最も重要であり、私たち産婦人科医のあるべき姿ではないかと考えています。
産婦人科医は決してお産やがん、不妊だけをやっているのではない、「女性に常に寄り添って、人生の長い期間をサポートしていく」これこそが産婦人科医の使命なのではないでしょうか。